アルバイトを終えて悠が歩のマンションを訪れたのは十一時過ぎだった。悠のために玄関の鍵を開けた慎治に案内されてリビングに入ると、リビングのソファには本当に出番を早めに終わらせたらしい悠の母が座っていた。三人がけの大きめのそのソファの隣には少し離れて歩が腰を下ろし、ローテーブルを囲む格好で学は床に座っていた。
「お疲れハルカ」
これも慎治が調達したのだろうオーガニックポテトのポテトチップスの袋を抱えた学が最初に悠に声を掛けた。続いて歩がハルカお疲れ、と言葉を掛け、母は自宅でもないのにおかえり、と言った。
学の隣にすとんと腰を下ろすと、学が抱えていた袋から一枚、ポテトチップスを取り出して悠の口元に運んだ。戸惑いながらも素直に唇を開き、それを口にする。意図が読めずにずっと焦れてきた学のこの行動も、これが学の愛情表現の一部だったんだと、今なら思える。
皆食事は取り終えたらしく、テーブルにはスライスされたチーズやキャビアの瓶、ディップソースの皿とクラッカーが無造作に並んでいるだけだった。悠も店で出された食事を取ったため、空腹はなかった。
「今ハルカのお母さんの名前の話してたんだよ。サトルから今日初めて聞いたよ」
ライムの入ったコロナビールを瓶のまま飲む歩が悠に笑みを向ける。
あまりない事なのかも知れない。母息子で同じ漢字を使った名前。悠の母の名は「早悠」と書いてさゆといった。
「私の大事な分身だから」
同じ漢字使ったの、と聞かれ慣れているのか話し慣れているのか、早悠は軽い調子でそう言って肩を竦めた。
「でも早悠さん、悪いけど俺、ハルカもらうから」
よろしく、となんでもない事のように宣言して、学はまたポテトを頬張った。
「サトルっ、……」
歩が慌てたように学を制すると同時に、ほんの一瞬、部屋の空気が凍る。
「あなたたち、そうなの」
「うん」
水を打ったような静けさを微塵とも思わない様子で、早悠の言葉に学が即答した。
「……私が決めれるのなら、誰にもあげたくないんだけど」
早悠は寂しいような、嬉しいような、諦めたような、悟ったような、全ての感情を含んだ笑みを浮かべて煙草に火を点けた。
「子供ってそうはいかないものだもんね」
どこかおかしそうに眉を上げて笑いながら、同意を求める様子でもなく歩を見た。
「あなたたちもそうなの?」
「――うん」
慎治と交互に見やって問う早悠に、歩も結局即答した。
「イイ男が四人もいるのに全員……!」
早悠がああ、と大袈裟な仕種で首を振って嘆いてみせた。
「すいませんね誰も早悠さんのお相手できなくて」
冗談口調で笑いながら灰皿を差し出す慎治に、早悠もほんとよ、と冗談混じりに渋い顔を作ってみせながら、その灰皿に灰を落とした。
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うううううう終わらなーい終わらなーい(´Д⊂ヽ
あと一回で! 本日中に終わらせます!(予定)
2:02追記
命名の事でご指摘いただきますた!!やっちまったな!
親子で同じ名前は法律で認められていないようです(゚∀゚)アヒャ
ネットで調べた感じでは漢字が異なれば認められる、という記述も見ましたので
そこに縋って!!!!!!!!orz
2:20更に追記
やっぱり気になったのでハル母の名前改名しますたwwwwww
『早悠』です。よろすくおながいします(*´∀`)