「歩……」
進の膝の上に立って飛び跳ねる学を、進は慣れた手つきで抱え下ろし、ママどこ? と話し掛けた。少し周囲を見回して、遠くに母の後ろ姿を見つけた学が、ママ、と両腕を伸ばして台所へと向かう。学の背を見送って歩に視線を戻した進は、歩の言葉によって僅かに呼吸を乱し、小さく肩を上下させていた。
「それが絶対叶わないって事が分かった日、ヤケんなりそうだった俺を救ってくれた人がいたんだ」
――慎治さん。慎治さんが俺を見つけてくれたから。俺は今、ここにいる事ができてる。
「兄貴俺、行きたい所がある」
向かい合うように座った正面から、真っ直ぐ兄を見詰める。混乱からか、視線を泳がせた後、やっと兄の視線が歩を捉えた。思えばこんな形で兄を見詰めたのは、何年ぶりだろう。やっと、身を焦がす訳でも、余りの切なさから煩しいと思う訳でもない、本来の意味で兄を兄として受け止められるようになった。
「俺と、俺の大切なものを身体張って守ってくれる人の所に。行って、できるなら今度は俺も、守りたい」
「歩……」
「慎治さんは、俺の命だ」
きっぱりとした歩の言葉。進は何かを思い出すように遠くを見た。
「俺は……お前に必要な事は何か、大事な事は何か、いつもそれを一番に考えてきたつもりだ」
「うん、分かってる」
「それなのに俺は……」
「うん」
俯く兄をじっと見た。
――分かってるよ、兄貴。大好きだ。世界で二番目に。
「……オヤジやオフクロには?」
「話すよ。まだ分かんねぇけど、そのうち」
「今から行くのか?」
「うん。もう少ししたら」
「そっか。もうお前が帰って来なくても、オフクロには俺からうまく言っといてやらなくてもイイ……んだろうな、きっと」
「……分かんねぇよ。帰ってくるかも知んねぇし」
それでも歩が微かな笑みと共に小さく頷くと、兄は少し、寂しそうに笑った。
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――慎治さん。慎治さんが俺を見つけてくれたから。俺は今、ここにいる事ができてる。
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「俺と、俺の大切なものを身体張って守ってくれる人の所に。行って、できるなら今度は俺も、守りたい」
「歩……」
「慎治さんは、俺の命だ」
きっぱりとした歩の言葉。進は何かを思い出すように遠くを見た。
「俺は……お前に必要な事は何か、大事な事は何か、いつもそれを一番に考えてきたつもりだ」
「うん、分かってる」
「それなのに俺は……」
「うん」
俯く兄をじっと見た。
――分かってるよ、兄貴。大好きだ。世界で二番目に。
「……オヤジやオフクロには?」
「話すよ。まだ分かんねぇけど、そのうち」
「今から行くのか?」
「うん。もう少ししたら」
「そっか。もうお前が帰って来なくても、オフクロには俺からうまく言っといてやらなくてもイイ……んだろうな、きっと」
「……分かんねぇよ。帰ってくるかも知んねぇし」
それでも歩が微かな笑みと共に小さく頷くと、兄は少し、寂しそうに笑った。
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どうやら大丈夫そうだ。(鼻の奥が痛い/笑)
もうすぐ完結かな?
続き、楽しみにしてます。