慎治は何の抵抗も見せなかった。歩の激情を、その身体で全て受け止めた。多くは語らなかった慎治。今までだって、普段は無駄なくらいにクチが悪く饒舌な慎治が、肝心な部分は言葉でなく態度で教えてくれていた事を思い出す。初めて出会った時から今まで、慎治の手はずっと、歩に優しかった。
慎治が歩に伝えたかった、本当の事はなんだったんだろう。慎治のあの行動が、歩を何かから護るための行為だったとしたら。
「慎治さん……っ」
――俺は、間違えた……?
溢れ出しそうな感情の代わりに、胃の中の物が込み上げてくる。咳込みながらそれを吐き出した。少しの固形物が、湯と共に流れてゆく、その様子を湯に打たれながらぼんやりと見送った。
「歩?」
曇りガラス越しに兄の心配そうな声がした。
「大丈夫か? 温まったなら、出て来いよ」
「……うん」
短く答え、歩はシャワーの栓を締めた。
部屋に戻り、どさりとベッドに腰を下ろした。何も変わっていないはずなのに、つい四時間程前とは全く異なって見える部屋。今の歩には全ての物が色褪せて見え、空気は重く歩の両肩にのしかかった。
――たったこの一言でこんなになっちまう位、お前はコドモなんだよ。
慎治の最後の言葉を思い出す。自分のしてしまった事を鑑みて、慎治の言う通りだと、歩は思った。
――俺が大人だったら。
こんな事にはならなかったんだろうか。大人になりたい。早く。大人になってもう一度、慎治に会いたい。――その頃にはもう慎治は、違う相手と一緒にいるだろうか。それより今日歩から受けた仕打ちに、もう会ってももらえないだろうか。
「……っ」
自分ではどうする事もできない、年齢という壁。歯がゆさに床を蹴った。
「歩」
小さなノックと共に、進がドアから顔を出した。黙ったまま何も答えない歩を知ったように、部屋に入って歩の隣に腰を下ろした。
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「大丈夫か? 温まったなら、出て来いよ」
「……うん」
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――たったこの一言でこんなになっちまう位、お前はコドモなんだよ。
慎治の最後の言葉を思い出す。自分のしてしまった事を鑑みて、慎治の言う通りだと、歩は思った。
――俺が大人だったら。
こんな事にはならなかったんだろうか。大人になりたい。早く。大人になってもう一度、慎治に会いたい。――その頃にはもう慎治は、違う相手と一緒にいるだろうか。それより今日歩から受けた仕打ちに、もう会ってももらえないだろうか。
「……っ」
自分ではどうする事もできない、年齢という壁。歯がゆさに床を蹴った。
「歩」
小さなノックと共に、進がドアから顔を出した。黙ったまま何も答えない歩を知ったように、部屋に入って歩の隣に腰を下ろした。
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兄さん何を語るのだ!?
ドキドキ。