「ツバキ……腕、解けよ」
俯いたまま動かなくなってしまった村椿に声を掛けた。涙を浮かべた村椿が顔を上げ、ぐし、と鼻を啜る。
「……はい」
素直に返事をすると、村椿は三垣の戒めを黙って解き始めた。背後で村椿の表情は分からないが、時折鼻を啜るところから察するに泣いているんだろう。少しずつ緩んでゆく両腕。痺れて感覚がなくなっていた指先に血が通い始める。ようやく両腕が自由になると、三垣は起き上がり両腕を擦(さす)りながら長い長い溜息を吐いた。
「部長……怒ってます、よね……?」
三垣の傍で俯いていた村椿が恐る恐る三垣を窺う。
「まあな」
「すいません……でも僕本当に……」
「ツバキ、こっち来いよ」
「……え?」
再び目線を下げてしまった村椿の腕を掴んで、ぐい、と引き寄せた。驚いた顔をした村椿はあっさりと三垣の腕の中に収まった。
「……部長、怒ってるんですよね……?」
「怒ってるよ。……あれじゃ、俺の意志はどこにもねぇからな」
「……はい。ほんとに……ごめんなさい……」
村椿は三垣の腕の中でまた俯いた。その髪を撫でてやると、髪はさらりと三垣の指の間をすり抜ける。
「それにあのまま俺をヤってたら、お前はこの先ずっと俺に負い目を感じ続けないとなんねぇだろーが」
「はい……」
村椿が瞼を伏せると、その頬に涙が伝った。この一年で村椿の涙を何度見ただろうか。三垣は初めて、その涙を掌で拭った。温かい、と思ったら途端に切なくなった。
「こんな強硬手段に出なくても……ツバキ、俺はお前が凄ぇ可愛いし、好きだと思ってるよ。こんな事しても良いと思うくらいに」
――思い切れ俺。
高鳴る心音を振り切るように自分を鼓舞して、村椿のもう片方の頬にも手を置いた。俯く顔を上げさせる。村椿の潤んだ瞳が三垣を見詰めた。
「ツバキ、もう泣くなって。俺はお前に泣かれると、どうして良いか分からなくなっちまうんだよ」
笑えよ、と誘うように笑みを向け、村椿の目尻に口付けた。溢れる涙を舌で舐めるとしょっぱいはずのそれが甘く感じた。泣いて少し赤く染まった鼻先にもキスすると、三垣まで鼻の奥がツンと染みた。
←5へ /
→7へ1から読む三垣君シリーズあります。よろしければあわせてお読みくだちぃ。
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「まあな」
「すいません……でも僕本当に……」
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「……え?」
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「……部長、怒ってるんですよね……?」
「怒ってるよ。……あれじゃ、俺の意志はどこにもねぇからな」
「……はい。ほんとに……ごめんなさい……」
村椿は三垣の腕の中でまた俯いた。その髪を撫でてやると、髪はさらりと三垣の指の間をすり抜ける。
「それにあのまま俺をヤってたら、お前はこの先ずっと俺に負い目を感じ続けないとなんねぇだろーが」
「はい……」
村椿が瞼を伏せると、その頬に涙が伝った。この一年で村椿の涙を何度見ただろうか。三垣は初めて、その涙を掌で拭った。温かい、と思ったら途端に切なくなった。
「こんな強硬手段に出なくても……ツバキ、俺はお前が凄ぇ可愛いし、好きだと思ってるよ。こんな事しても良いと思うくらいに」
――思い切れ俺。
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