毎年この日は必ず予定を空けておく。
早めに夕食を済ませて啓輔の家へやってきた良充は、「おばちゃんこんばんは〜、啓輔部屋やんな〜」と玄関に迎えに出た啓輔の母親に挨拶し、通い慣れた啓輔の部屋へと続く階段を上った。
今日は地元の花火大会。少し高台にある啓輔の家からはその花火がよく見える。啓輔の部屋は真正面に花火が見えるまさにベストポジションというべき位置にあり、毎年良充と啓輔は部屋から一緒に花火を見るのが恒例となっている。
「おぅ」
良充が部屋に入るとベッドに寝転がって雑誌を読んでいた啓輔が顔を上げて目線と共に声を投げた。
「そろそろ始まってるやろ、見てへんかったんや」
勝手知った様子で部屋を横切って、良充は花火の見える見晴らしの良い窓の網戸を開けて少し乗り出すような格好で窓にもたれかかった。
「お前待ってたんやろが。見よ見よ」
ベッドから下りた啓輔が良充の隣にやって来て、同じように窓にもたれかかった。と同時に少し離れた空にぱっと丸い花火が上がった。数秒遅れてどーん、と体の芯をくすぐる振動を連れて音がやってきた。お〜、とどちらからともなく声を上げた。
夏のせいか、少し触れ合っただけの肩が暑い。いや熱い。フィナーレまではまだ少し。花火と花火のぽっかり空いた時間に、触れ合った部分から体全体に熱が広がって行くような気がして良充が肩を肩で押し返すようにぐいぐいやりながら呟くように言った。
「……なぁ啓輔」
「んぁ? 何?」
「窓、狭なったな。去年はもうちょっと余裕あったよな気ぃすんねんけど……」
良充は窓の大きさを測るようにサッシを指でなぞった。
「窓が大きさ変わるわけないやろ」
啓輔が対抗するようにぐいぐい返してくる。
「それは分かってるけど……」
啓輔がデカなったんかな、でも俺もちゃんと背ぇ伸びてるしな、まだまだデカなる予定やし。あと何年かしたらきっともう花火見んのもキチキチや。そしたら……腕とかぴったりひっついてまうんかな。
……ぴったり……。
――どくん。
――どーん。
良充がそんな事を考えて鳴った胸の音は、その間に上がっていた次の花火の音でかき消された。
「暑い、っちゅうねん」
音に気持ちごとかき消されたかのような冗談口調でまたぐい、と押した。
「夏や、っちゅうねん、俺も暑い、っちゅうねん」
と啓輔から返ってくる。
指定席での二人の攻防戦は、フィナーレまでの間しばし繰り広げられたのだった。
おしまい
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今日は地元の花火大会。少し高台にある啓輔の家からはその花火がよく見える。啓輔の部屋は真正面に花火が見えるまさにベストポジションというべき位置にあり、毎年良充と啓輔は部屋から一緒に花火を見るのが恒例となっている。
「おぅ」
良充が部屋に入るとベッドに寝転がって雑誌を読んでいた啓輔が顔を上げて目線と共に声を投げた。
「そろそろ始まってるやろ、見てへんかったんや」
勝手知った様子で部屋を横切って、良充は花火の見える見晴らしの良い窓の網戸を開けて少し乗り出すような格好で窓にもたれかかった。
「お前待ってたんやろが。見よ見よ」
ベッドから下りた啓輔が良充の隣にやって来て、同じように窓にもたれかかった。と同時に少し離れた空にぱっと丸い花火が上がった。数秒遅れてどーん、と体の芯をくすぐる振動を連れて音がやってきた。お〜、とどちらからともなく声を上げた。
夏のせいか、少し触れ合っただけの肩が暑い。いや熱い。フィナーレまではまだ少し。花火と花火のぽっかり空いた時間に、触れ合った部分から体全体に熱が広がって行くような気がして良充が肩を肩で押し返すようにぐいぐいやりながら呟くように言った。
「……なぁ啓輔」
「んぁ? 何?」
「窓、狭なったな。去年はもうちょっと余裕あったよな気ぃすんねんけど……」
良充は窓の大きさを測るようにサッシを指でなぞった。
「窓が大きさ変わるわけないやろ」
啓輔が対抗するようにぐいぐい返してくる。
「それは分かってるけど……」
啓輔がデカなったんかな、でも俺もちゃんと背ぇ伸びてるしな、まだまだデカなる予定やし。あと何年かしたらきっともう花火見んのもキチキチや。そしたら……腕とかぴったりひっついてまうんかな。
……ぴったり……。
――どくん。
――どーん。
良充がそんな事を考えて鳴った胸の音は、その間に上がっていた次の花火の音でかき消された。
「暑い、っちゅうねん」
音に気持ちごとかき消されたかのような冗談口調でまたぐい、と押した。
「夏や、っちゅうねん、俺も暑い、っちゅうねん」
と啓輔から返ってくる。
指定席での二人の攻防戦は、フィナーレまでの間しばし繰り広げられたのだった。
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相互リンク熱烈歓迎とありましたので、うちにもこちらのリンクを貼らせて頂いております。(うちはリンクページが目立たないので申し訳ないですが・・・・)
取り急ぎ(といっても、貼って随分経ちますが・・・・)ご報告までm(__)m